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近頃河原の達引

与次郎さんの情。

これに私は泣かされた。

お俊も伝兵衛も少しも哀れではない。彼らは自分たちの幸せを選び取ったのだから。そんな勝手な2人のせいで、予想だにしない不幸を背負ってしまう母と兄。なのに。なのに。悲しい2人の門出を祝ってあげる兄。なけなしのお金まで渡して・・・

十三代目仁左衛門の追善狂言。
話は心中物にありがちなもの。お俊を巡って、金のある男と金のない男が争う。当然、お俊と恋仲なのは金のない方。ある日、金のない男伝兵衛と金のある男官左衛門が小競り合いを起こしてしまう。悪いのは官左衛門なんだけどね。どうしてもお俊を身請けしたいから、伝兵衛を騙そうとしたのだ。もみ合っているうちに、伝兵衛は官左衛門を刺し殺してしまう。伝兵衛と恋仲だったお俊は実家へと帰されてしまう。
何があったのかはっきりとは分からないものの、良いことでないことだけは確かと気を揉む母と兄。
夜中。伝兵衛がお俊に合いたくてやってきた。気色ばむ与次郎。
ところが。予想していた事態とどうも違う。
2人は本当に愛し合い、あまりの会いたさに人目を忍んでやってきただけに過ぎなかったのだ。
2人の絆は強く、どうも死を覚悟しているようだ。
そう感じた兄の与次郎は2人に祝言の真似事をさせ、猿回しで門出を祝う。
2人の死を感じつつも、送り出す与次郎。

何年振りだろうか、この芝居を観るのは。
今回が一番感動したように思う。
与次郎の気持ちに泣けてくる。
我當さんの持つ優しさや思いやりが全て与次郎の言葉や行動に出てきてたと感じた。今日が初めてなのをちょっと後悔。
実を言うと余り好きな芝居ではなかったのだ。
いや、今も好きじゃないけど。
悲しすぎる。与次郎さんが哀れで見ていられない。
でも。
その哀れさとか悲しさとかが凄く良かったのだ、今回。
聞いたところによれば、先週よりも更に良くなっているらしい。
その変化を私も実感したかったな〜。

というわけで。
あと2回は行こうと決めた夜。

by kikoma0721 | 2006-03-11 22:16 | 歌舞伎 | Comments(1)

Commented by yae at 2006-03-23 00:41 x
kikoma0721さま

先日は当サイトにご投稿頂きまして、ありがとうございました!
またこちらのお知らせにもご紹介頂いて、感謝感謝です。
思えば、我當さんつながりで長~いお付き合いですよね。
一緒に六月の関西の歌舞伎鑑賞教室に行ったり・・
我當さんは本当にいい人です!!そして、どんどん味のある役者さんになってるな・・と思います。
我當さんにご許可を頂きまして、『堀川』のお猿の取材をさせて頂きました。サイトに更新しましたので、是非またご訪問下さいね。
ではまた、歌舞伎座で会いましょう!!!