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絵本太功記

久々に2日続けての歌舞伎。
今日は張り切って着物を着てみた。半年振りにしては余り時間をかけず、綺麗に着られたような気がする。
「絵本太功記」といえば、十段目の「尼ヶ崎閑居の場」。
いつもこれしか観たことがない。それが、今回、国立劇場は通しで上演するとのこと。
それに、私の大好きな我當さんも出演される。
こりゃ行くしかないでしょ!?

この芝居、本当なら團十郎さんの主演で行われるはずだった。8月に国立劇場に行った時は確かに團十郎さんのチラシだった。ところが。再入院となってしまい、今回は橋之助の武智光秀となった。

この話、織田信長と明智光秀の物語。
序幕は信長が光秀を打擲するところから始まる。あ。信長じゃないんだ、この話では。春永が名前。春永は悪人らしく、目元が青く隈取りされている(ぶっちゃけて言うとアイシャドーのようになってる)。
でもね。序幕見ていると、春永が横暴とは言いきれないものがある。光秀もやりたい放題しているような・・・春永が我當さんだから、贔屓目なのかなあ?ま、春永のやりすぎの感も否めないけど。
二幕目はかの有名な「本能寺の変」。
私には少し不満が残る。この場面(と言うか序幕もなんだけど)、森蘭丸が主役なのだ。春永より全然目立っている。出来れば蘭丸の立ち回りよりも春永の自害の場面を入れて欲しかったなあ。昔ファンだった孝太郎が蘭丸をやっているので、楽しめたことは楽しめたけど。彼の立ち回りを見るなんて初めてのことだから。いや。そもそも立役を見ること自体が珍しい。女形さんがやる立役というのは何度か観てるけど、隈取りをきちっと取ってするような立役は私の記憶ではない。前髪のお小姓役なので、声は少し高めだけれど、立派な立ち回りで、「ラッキー!」だったなあ。
三幕目は光秀の母が主である春永を倒した息子に怒り、家を出て行く場面。母の皐月は理由はどうあれ、主を滅ぼし、世間から武智家が非難されるようになったことが許せないのだ。
四幕目は大物の浦に陣を構えている久吉(秀吉のことね)を武智の四王天但馬守と坊さんが変装して襲う。ところが、久吉の方が一枚上。まんまと正体がばれてしまう。何かを感じた久吉は荷物を抱えてどこかへ・・・
さて。大詰。上演回数がダントツに多い「尼ヶ崎閑居の場」。
普段はやらない、ご近所の人と講をやる場面とか嫁と孫嫁が訪ねてくる場面が最初に入った。それだけでも観た甲斐があるかもしれない。
ここは女が主役の芝居・・・だと思う。
ご近所の人の噂を聞き、皐月は覚悟を決める。
孫嫁の雛菊は許嫁の十次郎に初陣を飾らせるべく、支度を手伝い、涙と共に戦場へと送る。
義母と息子を失った妻の操は夫を諫める。
それでようやく光秀も覚悟を決めるんだから。

信長、光秀、秀吉の3人の中で、誰が一番嫌いかって言ったら、秀吉だなあ。根性悪そうなんだもん。
信長は確かに喜怒哀楽が激しい人だったようだけれど、ある意味男らしいと思うんだよなあ。怖い人だと思うけれど、だって、何考えているか分からないでしょ?でも本能寺での潔さは尊敬に値すると思う。
光秀も実直な良い人だと思うんだよなあ。ただ真面目すぎるが故に自由奔放な考え方の信長とは合わなかったんだと思う。
歌舞伎では信長はいつでも悪者。光秀は悪者でもあり、良い人でもある。秀吉は必ず良い人。私は納得できないなあ。秀吉って、あれだけの地位に登り詰めてるんだから、善人なわけはない。・・・と思うんだよね。

久々に我當親子共演を観られた。
坊ちゃん、もう少し活躍してくれ〜。あたしゃ、松島屋の将来が不安でならないっす(-_-)

by kikoma0721 | 2005-11-13 22:22 | 歌舞伎 | Comments(0)